認知症について


認知症を起こす代表的な疾患がアルツハイマー型認知症ですが、他にも脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症など、さまざまな種類の症状があります。
現代の医学では投薬により認知症の進行を遅らせることが出来ますが、認知症そのものを治すことは出来ません。
そのため、認知症は予防をすることがとても大切になります。
認知症には生活習慣病が大きくかかわっていることが分かっています。生活習慣病(糖尿病・脂質異常症・高血圧・脳卒中・肥満)が認知症のリスクを高めてしまうのです。
生活習慣病により脳の血管が硬くなったり、動脈硬化により血管が狭くなり血流の悪化が起こったりといった問題が起こると、当然脳血管性認知症は発症しやすくなります。血栓が血流にのって脳に流れ着き血管をふさいでも(塞栓)、その先の脳細胞に血液が届かなくなり認知症となります。
血流が悪くなればアルツハイマーの原因物質であるアミロイドβも蓄積しやすくなります。つまり、脳だけではなく、全身の血液をきれいに保ち弾力のある血管を作ることが認知症予防には大切になるのです。

また、食事においてはDHA、カテキン、ビタミンE、ポリフェノールなどの摂取がアミロイドβの蓄積を軽減させる有効性が確認されています。ビタミンCを含む野菜も大切です。
その他、適度な運動や人との会話やコミュニケーションも認知症予防には大切です。


鍼灸と認知症予防
テーブルフラワー

鍼灸では、まず(1)認知症への血行促進作用による予防効果と、(2)認知症の周辺症状の緩和が期待できると言われています。

(1)鍼灸治療を続けていると、血行が良くなってきます。脳内の血流も改善されて、認知症リスクの低下につながります。脳内に酸素と栄養がいきわたり、「脳の回復しようとする力」にも効果的です。

(2)近年の研究で鍼灸治療により、体内からエンドルフィンやエンケファリンなどのモルヒネ様物質が分泌されることが分かってきました。これらの働きにより、爽快感が感じられ、気持ちも元気になり、前向きになると考えられています。つまり鍼灸治療には精神を安定させる作用があると考えられています。 よって認知症の周辺症状(攻撃性、徘徊、意欲低下、うつ、睡眠障害等)の緩和が期待できます。


認知症に対する治療をご希望の方はメニューのはり灸治療をお選び下さい。

鍼灸による認知症の周辺症状の緩和について書かれた読売新聞の記事を以下に掲載します。

〈 体質改善のツボで笑顔に  効用確認する試み 〉

「脳を健やかにする」みけんのツボに針を刺す兵頭さん。治療を受けている女性も「頭がすっきりする」とほほ笑む(千葉県浦安市で)体の痛みを軽くしたり、筋肉のコリを取ったりする「はり治療」。この針で、認知症の高齢者を癒やそうという試みが始まっています。(渡辺理雄 「いま、ピリッと来たよ」針を刺してもらっている男性Aさん(84)が笑顔でつぶやく。千葉県浦安市の介護付き有料老人ホーム「舞浜倶楽部・富士見サンヴァーロ」の休憩室。Aさんは重いアルツハイマー病だが、表情は穏やかだ。 「(ピリッとしたのは)元気な証拠。体が弱っていると感じないんですよ!

そう答えるのは、中国の天津中医薬(ちゅういやく)大客員教授で、針きゅう師の兵頭明さん(56)。医療系専門学校の後藤学園(東京・大森)で教える一方で、昨年10月から週1回、70~80歳代の認知症の入所者3人にはり治療を行う。認知症への効用を確認するのが狙いだ。 認知症は、物事をすぐに忘れてしまうといった記憶の障害が注目されがち。 だが、イライラして攻撃的になったり、ふさぎ込んだりする「感情障害」も症状の一つで、家族を悩ませる。

兵頭さんは「中国の伝統医療では心と体は一体。治ろうとする力を針で引き出すと、高齢による様々な体の不調が改善され、認知症に伴うイライラや気分の落ち込みまでもが解消されていきます」と話す。 Aさんは足の痛みを訴えていたため、車いすも検討されていた。はり治療を受け、今は手すりに頼らずに歩ける。 同時に変わったのが顔つき。無口で不機嫌そうだったのが、痛みがとれて、生き生きとした表情に変わった。 Aさんの娘(50)は「私の名前は忘れたままですが、家族にとっては、本人がニコニコしていることが何よりうれしい」と喜ぶ。

認知症へのはり治療の研究は、本場・中国で盛んだ。 天津中医薬大の研究では、アルツハイマー病患者98人の記憶力検査の平均点数が、治療後で3.7から4.8に上がった(9点満点)。 兵頭さんは「はり治療で認知症は治せないが、症状の進行を遅らせたり、予防したりはできるかもしれない」と期待する。

2010年6月3日 読売新聞

他にも、米医学誌「Journal of Clinical Nursing」には、認知症の改善にツボ療法は、「徘徊(はいかい)が減少し、言葉や肉体による攻撃性が軽減するなど、明らかな改善効果が認められたと掲載されています。 (アメリカの医学誌『Journal of Clinical Nursing』2007年2月号)

また台湾での研究では、ツボ刺激により徘徊が減少し、言葉や行動における攻撃性が軽減するなどの改善効果が認められたが、また施術をやめると、再び攻撃性が見られるようになったと報告されています。 (台湾 国立陽明大学研究)